ほんしゅ堂のブログ

東京都練馬区にある酒屋の店主ブログです。

文楽鑑賞『本朝廿四孝』

皆さん、こんにちは。

先日、二ヶ月に一度のお楽しみ、文楽五月公演に行ってきました!

演目は『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)』です。

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タイトルの意味は、日本版二十四孝。

二十四孝』とは、古代中国で親孝行の模範となる24の物語を収めた書物のこと。

日本にも伝来し、江戸時代には庶民の間にも広まったそうです。

その『本朝廿四孝』ですが、ストーリーが少々難解なことでも知られています。

こう書くと、教訓めいた堅苦しい話のように思われるかもしれませんが、

実際のストーリーは、戦国武将で有名な武田信玄上杉謙信をモデルに、

その孝子、勝頼景勝が活躍して将軍暗殺事件を解決するエンタメ作品です。

今日は、知れば知るほど面白い『本朝廿四孝』を紹介します!

 

【作者の近松半二について】

http://www.osaka2shin.jp/archives/1051068825.html
(画像参照:大阪つーしん

近松門左衛門が亡くなった1725年、大阪生まれ。

近松門左衛門との血縁関係はないものの、多大な影響を受けた所以で、近松姓を名乗っています。人物像については情報がほとんどありません。

近松半二の死』は彼の死の床の様子を描いた岡本綺堂作品で、彼が文楽を最後の砦となって支えていた様子が伺えます

『本朝廿四孝』は、文楽が歌舞伎に押され始めた時代に、起死回生を狙った代表作。初演は1766年です。

非常に凝ったストーリーが特徴で、それ故、難解な作品とも。

特に、3段目が難解とされ、今回はその3段目が12年ぶり(単独上演は37年ぶり)に上演されるとあって、チケットは即完売でした。

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【難解と言われる所以について】

まず、文楽の特徴として、作品が幾つかの段(章立て)で構成されているのですが、

それぞれが独立した話になっており、最後の段がクライマックスかというと、そうでもなかったり。

過去に『本朝廿四孝』が通しで上演された際も、最後の段(5段目)はカットされたとか。

つまり、全編に散りばめられた数多の伏線が、クライマックスに向かって回収されていく作りになっておらず、やや複雑な構成になっているんですね。

それでも、きっと、江戸時代の人は、史実とは異なる(パロディ?)、意表を突くストーリー展開に、「あぁ、騙されたー!」「んな、アホな...」と、大いに楽しんだに違いありません。

その肝心のストーリーは壮大で長く、ネタバレにもなるので割愛しますが、ご興味ある方は下記のリンクをどうぞ。

 
【リンク】

 ・本町二十四孝の解説立命館大学artwiki)
 ・「道三最後の段」から振り返る『本朝廿四孝』金沢星稜大学 研究ノート)
 ・本朝廿四孝の解説(のたりずむ♪さん)
 ・本朝廿四孝 聴きどころ見どころ

さて、マイブームの文楽ですが、予習は楽しいし、国立劇場の雰囲気も良く、何より観て聴いて楽しい。

昔も今も、庶民的な娯楽に変わりはなく、あらためて、いいなと。

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次回公演は9月。かなり時間が空くので、地方公演に行くことにします。

また、報告します〜

おわり。