みなさん、こんにちは。
前回の続きになります!
今回は「2. 山廃仕込み」についての説明になりますが、
前回の話で、蔵の中に野生酵母が浮遊しているのなら、
と疑問に思った方、いらっしゃいませんか。
そーなんです!
野生酵母に限らず、雑菌と呼ばれる好ましくない無数の微生物が酒造りの過程で混入します。
実際の日本酒造りでは、スターター的な「酒母(しゅぼ)」あるいは「酛(もと)」と呼ばれる、
酵母だけを培養したものを造ります。文字通り、お酒の母、お酒の元になるものです。
酒母の原料は「蒸米、麹、水」です。混ぜ合わせると、麹に付着した麹カビが、
蒸米のデンプンを分解してブドウ糖にする変化が起きます。(前回参照)
同時に、無数の雑菌が混入し、タンクの中で勢力争いがはじまります。
この状態に終止符を打つのは乳酸発酵です。
乳酸菌による乳酸発酵が始まると、乳酸の殺菌効果によって雑菌が死滅します。
そして、酸に耐えられる清酒酵母だけは生き残り、エサとなるブドウ糖が食べ、
どんどん増殖していきます。
なお、乳酸菌は酵母が生成するアルコールにより死滅します。
これが酒母造りの大まかな流れです。
酒母は大まかに、雑菌の殺菌に乳酸発酵を使う「生酛・山廃酛」と、
人工的に乳酸を添加する「速醸酛」の二つに分かれます。
近代的な「速醸酛」が開発されるまでは、酒母は「生酛」が主流でした。
「速醸酛」は原料投入と一緒に乳酸を添加するため、約二週間で完成するのに対し、
「生酛・山廃酛」は、自然の乳酸菌を取り込むため、完成までにおよそ一ヶ月かかります。
そして、この「酒母」の成り立ちが味わいに大きく影響するんですね。
具体的には、「生酛・山廃酛」から造られたお酒は、
生存競争を勝ち抜いた野生の力強さを感じ、また、様々な成分が複雑な味わいを醸します。
「速醸酛」の方は、比較的上品ですっきりした味わいになると言われています。
戦争を知らずに僕らは育った〜♪
左:酵母無添加&山廃酛で造られた不老泉「三年熟成」
右:協会酵母&速醸酛で造られた不老泉「杣の天狗」
味わいは好みがありますので、お酒を選ぶ時の参考になればと思います。
もし「不老泉」にご興味を持たれたがいらっしゃいましたら、
是非、当店に足を運んでくださいね!
最後に、横坂杜氏さんのインタビュー記事を紹介しておきますので、併せてお読みください。
不老泉 上原酒造杜氏・横坂安男さんインタビュー
(リンク先:日本酒コンシェルジェ通信)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。